内容一覧
前置き
第0章 妊娠・授乳中の薬について
第1章 解熱鎮痛薬
第2章 アレルギー性鼻炎の薬(抗ヒスタミン薬)
第3章 鎮咳・去痰薬
第4章 総合感冒薬
第5章 点鼻薬(アレルギー性鼻炎)
第6章 胃薬
第7章 便秘薬
第8章 下痢止め薬
第9章 水虫薬(外用)
第10章 鎮痛消炎薬(外用)
第11章 痒み止め(外用)
第12章 保湿剤
第13章 口内炎の薬
第14章 点眼薬
第15章 発毛薬
第16章 乗り物酔い薬
第17章 睡眠改善薬
第18章 禁煙補助薬
第19章 にきびの薬
第20章 うがい薬
第21章 その他
(虫除け、消毒液、痔の薬、漢方薬)
(ビタミン類、脂質異常症の薬)
アレルギー性鼻炎の薬(抗ヒスタミン薬)
薬を使う目的
くしゃみ、鼻水は異物を外に排出する生体防御反応。
しかし、これもあまりに多いと不快で生活に支障を来すので「必要以上に増えた、くしゃみ、鼻水を緩和する」ために抗アレルギー薬を使う。
- 熱と同じ生体防御反応なのでむやみに抑えれば良いということではない
薬の種類と選び方
抗アレルギー薬と言われる市販薬(OTC)に入っている主成分は「抗ヒスタミン薬 第一世代」「抗ヒスタミン薬 第二世代」「血管収縮薬」
【抗ヒスタミン薬 第一世代】
・速効性あり
・眠気などの副作用 強い
・頓服で使う薬が欲しい時におすすめ
【抗ヒスタミン薬 第二世代】
・効果が出るのに時間が必要
・眠気などの副作用 少ない
・多くの人で治療の基本になる
【血管収縮薬】
・どうしても今すぐ「鼻詰まり」を解消したい場合の一時的な緊急措置
- 「抗ヒスタミン薬 第二世代」は単独で入っている商品がほとんど
- 「抗ヒスタミン薬 第一世代」と「血管収縮薬」は大体一緒に入っている
- 鼻詰まりが酷く「血管収縮薬」を使うときは「プソイドエフェドリン」を使え!この成分が他よりも効果が高いことは知っていたが、この成分以外は効果の根拠が乏しいという記載があり参考になった(プソイドエフェドリンには注意が必要な持病も多いので確認が必要)
受診勧奨(病院受診をおすすめ)
鼻炎薬を買いに来た方への受診勧奨例が7個紹介されている。
- 内容を読んで「薬剤耐性鼻炎」と「2歳未満の熱性けいれん」の2つが重要だと感じた。他の例は簡単にいうと「OTCで対応できないほど症状が酷いから病院に行って下さい」って感じの内容だと思った。
- 「薬剤耐性鼻炎」は出会ったことは無いが、潜在的に多いんじゃないかと感じる。「もう何年もこの点鼻薬使ってるよ」みたいな発言が出たら要注意。
- 自分は2歳未満の子供の鼻炎薬を案内する機会はあまり無かったが、風邪薬を案内することが割とある。風邪薬にも「抗ヒスタミン薬 第一世代」が入っているので「38℃以上の高熱」や「熱性けいれんの既往」は確認すべき。
花粉症一覧
本書のいたるところに「豆知識」や「こぼれ話」が点在している。今回は「豆知識」に花粉症一覧と、「こぼれ話」にアレルギー性鼻炎薬の効果を比較した結果が記載されていた。
【スギ花粉】
・2~4月
・北海道、沖縄以外の地域
【ヒノキ】
・3~5月
・北海道以外の地域
【シラカンバ】
・4~6月
・北海道、東北地方
【イネ】
・4~6月、8~9月(イネ長い・・・)
・全国
【ブタクサ】
・9月
・北海道、沖縄以外の地域
【ヨモギ】
・9月
・全国
【モクマオウ】
・4~6月
・沖縄
- スギ花粉が一般的たが、スギ花粉が終わっても花粉症の接客は意外と多い。「今の時期の花粉症は◯◯かな」っと当たりが付くとお客さんや患者さんとのコミュニケーションに役立つと感じる。
- 「こぼれ話」にあったアレルギー性鼻炎に対する「抗ヒスタミン薬」の効果比較は優劣がハッキリしておらず「どんぐりの背比べ」状態とされている。
医療用のザイザルやビラノアはアレグラなどよりも効果を実感される患者さんが多い気がするけど・・・まだランク付けできる程分かっていないということですかね。
主なアレルギー性鼻炎薬(OTC商品)まとめ
18種類の鼻炎薬の特徴が一目で分かる一覧表が載っている。(エスタック鼻炎カプセル、新コンタック600プラス、アレジオン、アレグラ…等々)
ここでは成分だけでなく、第0章で書かれていた、妊婦・授乳婦への安全性評価基準も書かれており、とても分かりやすい。
- 薬局で確認できるとかなり便利な内容
- 妊婦・授乳婦への安全性評価基準が商品の注意事項と異なる可能性がある。基本的に商品の注意事項を優先すれば良いと思うが、お客さんにどの程度のリスクがあるか伝えるためには参考になる。
主な有効成分の特徴(抗ヒスタミン薬)
商品ごとのまとめが終わると次に、主な有効成分の解説がある。ここでは「長所、短所、使用制限、妊婦・授乳婦への安全性評価」が記載されている。
- 特に良かったのは「自動車運転OKかNGか」が記載されていたこと。
ダメな薬があるのは知っていたが、今までは聞かれる度に商品パッケージを確認したりメーカーHPで確認していた。この本を読んで自動車運転OKとされているのは「フェキソフェナジンとロラタジン」しか無いことが分かり、接客スキルが向上したと感じた。
主な有効成分の特徴(血管収縮薬)
鼻詰まりに効果のある「血管収縮薬」のまとめでは抗ヒスタミンの特徴と同じように「長所、短所、使用制限、妊婦・授乳婦への安全性評価」が書かれており、使用制限の項目には「ドーピングの禁止薬物」の記載がある。
- 「ドーピングの禁止薬物」かどうかは聞かれる機会が少ない事と、その都度確認した方が間違いないという思いで覚えていなかった(自分が知らないうちに更新とかされそう)
- 血管収縮薬は「ドーピングの禁止薬物」かも!っという事に気づいて、都度確認するのが良いと思う。
花粉と野菜・果物のアレルギー交差性(豆知識)
アレルギー交差性について豆知識で紹介されていた。
アレルギー交差性とは、花粉のアレルゲンは野菜や果物のアレルゲンと構造が似ているため、花粉症の人は一部の野菜・果物を食べるとアレルギー反応が起きて、口や喉に痒み・痺れを感じることがあるというもの。
【スギ花粉 2~4月】
・トマト(ナス科)
【ヨモギ花粉 9月】
・セロリ、ニンジン(セリ科)、マンゴー(ウルシ科)
【ブタクサ花粉 9月】
・メロン、スイカ(ウリ科)、トマト(ナス科)、キウイ(マタタビ科)、オレンジ(ミカン科)
【シラカンバ花粉 4~6月】
・リンゴ、モモ・サクランボ(バラ科)、セロリ、ニンジン(セリ科)、キウイ(マタタビ科)、マンゴー(ウルシ科)
- 恥ずかしながら、スギ花粉のトマトくらいしか知らなかった。
- これからは、花粉症が出ている方の食べ物に関する注意喚起も行えるようになり、より患者さんの健康に貢献できるようになったと感じた。
- 投薬、接客時にパッとお伝え出来るようにロールプレイ
Q&A
11件のQ&Aが書かれている。
【Q一覧】
Q1:花粉症はOTCでも対応できる?
Q2:眠くなりやすい薬ほど、よく効く?
Q3:薬は花粉症が酷くなってから使えばよい?
Q4:鼻詰まりで困る場合は「血管収縮薬」の入った薬を選べばよい?
Q5:眠気を感じていなければ、車を運転してもよい?
Q6:少しの鼻炎でも、薬を飲んだ方がよい?
Q7:効果が不十分なとき、もう1錠追加で飲めばよく効く?
Q8:2歳未満の乳幼児でも抗ヒスタミン薬は使える?
Q9:妊娠・授乳中でも使える抗ヒスタミン薬はある?
Q10:前立腺肥大の人に第一世代の抗ヒスタミン薬は禁忌?
Q11:緑内障の人に第一世代の抗ヒスタミン薬は禁忌?
- 第1章のQ&Aもそうだが、薬剤師や登録販売者であれば既に知っている内容も多いかと思うが、改めて専門書で見ておくと知識に自信が付く。
- 9割は知っている内容だが、1割は知識として曖昧だった部分。この曖昧だった部分が補填できたのは良かった。
- 第3章以降もQ&Aは似たような感想になる気がする・・・
まとめ
「特徴のあるOTC」と「処方薬の紹介」が記載されている。
- OTC薬のまとめは作者のおすすめ商品紹介
- 処方薬の紹介は、大体知っている内容だったが「ビラノア、デザレックスが自動車運転に制限がない」処方薬として紹介されており、この内容は知らなかった。
- 自動車運転に制限がない薬は現在4つ
- ビラノア
- デザレックス
- フェキソフェナジン(アレグラ)
- ロラタジン(クラリチン)
- 投薬、接客時にパッとお伝え出来るようにロールプレイ
第2章 全体の感想
- 「豆知識」がめっちゃ参考になった
- 投薬、接客時に+αで伝えると良い内容が多い
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